再生可能エネルギー事業融資に対する金融機関の姿勢まだ厳しいのか(2016年3月18日発表)

2012年のFIT(固定価格買取制度)開始以降、初めは恐る恐るでありながらも、
各金融機関は太陽光発電に対する融資を始めるようになりました。

中堅、大手企業は高い買取価格を背景に銀行からの借り入れをしながら、
多くの太陽光発電所をこの3年間に構築していきました。
弊社の周りでも高額所得者や大きな土地を所有している
主に農家の方等個人レベルでもこの動きは活発化していったような感があります。

しかしやはり金融機関の基本的な融資姿勢は依然とあまり変わっていないような気がします。
つまり事業リスクを考慮した融資ではなく、あくまでも事業主の信用保証をベースとした融資に変わりはないということです。
従って土地担保、事業主の個人保証、自然災害損害保険金の質権設定という枠組みは従来と全然変わっていないと思うのです。

現在、設備認定された案件の3割程度しか、
太陽光発電所の建設がされていないという記事をよく見かけます。
これはほとんどの場合、銀行融資を受けられずに計画を断念したことが少なからず起因しています。

経済産業省に設備認定を受け、電力会社に受給契約の申し込みをした事業者が
銀行にその資金の一部の融資を断られるケースであります。

金融機関としては、当然預金者から預かっているお金を信用力の乏しい先に、
むやみやたらに貸し出しすることはできないのは当然であるし、
融資に際してしっかりとした担保をとった上でないと審査を通すことはできない。
というのは十分理解できる部分であります。

しかしもう少し再生可能エネルギー、
特に現段階では太陽光発電施設の事業内容やそのリスク程度を研究してみる必要があるのではないかと思います。

太陽光発電事業は一般の事業と違い、収入の確定した事業であります。
それも20年間一定の金額で全量の電力を買い取ってくれるという非常に恵まれた事業です。
なおかつその収入は国の保証付きということです。
原資は我々が負担している賦課金(税金みたいなもの)なので基本的に枯渇することは有りません。

 少し想像してみてください。
 例えばAさんがパン屋さんの製造、販売業を脱サラで開業したとします。
 Aさんが毎日一生懸命に作ったパンは毎日、国に20年間にわたって一定の金額で買い取ってもらえることが決まっています。
 その収入をもってすればパンの製造、販売に要した設備投資の減価償却を行いながら人件費やその他経費も賄えて、利益も出ます。
 
 他の事業に比して自然災害リスクがあるとしても、こんな都合のいい条件のある事業は未来永劫ないように思えるのです。
 であれば金融機関の融資に際しても一般の融資とは違う枠組みで考えられないのでしょうか。

これに関して最近うれしい情報も有りました。
青森銀行さんが小型風力発電事業の融資でABL(アセット・ベースト・レンディング)を個人事業者に実施したということです。


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設置した風車の外観 出典:青森銀行

ABLとは従来担保として利用されていない商品機械、ここでは風力発電設備のような動産の価値に着目することで、
過度に不動産や個人保証に依存しない融資形態のことです。

このような事業内容に着目した融資形態がこの再生可能エネルギー設備ではもっと事例があっていいと思うのです。
風力発電事業は一般に太陽光発電事業よりもリスクは高いと認識されておりますが、
青森銀行さんがここに切り込んでいったというのは非常に評価が高いと思います。

まさに再生可能エネルギー事業はFITを前提に成り立っている事業でありますので、
太陽光発電事業ではもっとABLを使える土壌があると思います。
現在、融資不能で眠っている案件を掘り起こすことで
更なる再生可能エネルギーの推進が可能になることを祈ります。

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