太陽光発電の買取価格は世界に比べて高いのか?(2015年2月18日発表)

前回のブログでは太陽光発電の数は増えすぎたのか?
という事について述べましたが
「今回は日本の太陽光発電の買取価格は高すぎるのか?」
という疑問について述べたいと思います。
テレビを見ていると、識者がよく「日本の太陽光発電の買取価格は高すぎる」
という事を仰っています。
高すぎるというのは何と比較しているのでしょうか。
よく聞いてみると、「日本の買取価格は今のドイツの買取価格の倍以上である。」
というのが理由のようです。

この言葉だけをとらえれば正しいと言えます。
しかし、これはそれぞれの国の再生可能エネルギーの普及率や
FIT(固定価格買取)制度の趣旨を無視した軽はずみな発言だと私は思います。

そもそもFIT制度は再生可能エネルギーを効率よく
スピード感を以って増やしていくための制度です。
これは持続可能な社会を維持していくための、
手段として欠かせないと政府や国民が選択したものです。
とすれば国民負担を伴うここ制度の失敗は許されないのです。

おそらくFIT制度の価格を決める時に買取価格等算定委員会は
こういう観点に立って価格を決めたのでしょう。
だから高くて当たり前なのです。
つまり事業者に配慮した買取価格にすることによって
政府としてはスタートダッシュで再エネ普及にはずみをつけたかったのです。
 
これは別に日本に限らず世界のFITを導入しているどの国でも、
同じ現象が生じているのです。
下のグラフをご覧ください。
ドイツでは2000年からFITが本格化していますが、
当初の買取価格は屋根置きで50ユーロセント(65円、1ユーロ130円換算)、
最高57ユーロセント(74円)という時もありました。
野立てのメガソーラーについても(下グラフ)
今の日本の水準以上の価格が制度開始当社はついていたという事です。

150215a

150215b

つまりドイツの制度が開始した当初の価格と
今の日本の価格を比較するのであれば公平でしょうが、
FIT開始後15年もたった今のドイツと日本との対比は
いかにも何らかの意図がある発言とみられても仕方ないのではないでしょうか。

FITの意義はこれを継続することによって設備価格が下がり、
やがて発電コストが大手電力会社から購入するよりも安くなる(グリッドパリティ)ことです。
既に南ドイツはこのグリッドパリティを達成したと言われています。
このころになるとFITなし(国民負担なし)に再エネが広がっていくのではないでしょうか。

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