太陽光発電は発電量を維持できるのか?(2016年9月19日発表)

平成26年度の統計で、日本の再生可能エネルギーによる発電量は
年間で3.2%にとどまっています。

なぜ再エネを増やさなければならないか?
このブログでもお伝えしてきましたので詳しくは書きませんが、
温暖化ガスの削減、エネルギー自給率のアップによる経済効果と
エネルギー安全保障が主な理由です。

政府は2030年のエネルギーミックスで再エネ比率を22%~24%としていますが、
現在のペースでは達成がむつかしいのではと考えてしまいます。

再エネを増やす起爆剤として導入されたのが
FIT=再生可能エネルギー固定価格買取法案です。
太陽光発電だと、出力10kW以上の設備に関して、
一定価格で20年間の買取を保証するものです。

太陽光発電は導入までの時間が短い、
設置~稼動に対する法的な規制が少ないことがあり、
再エネ増加のけん引役といわれてきました。

再生可能エネルギー全般で、
固定価格買取制度導入~2015年5月末までに運転を開始した設備は
2081.7万kWありますが、実にその96.5%が太陽光発電です。

制度導入から大手企業が作る大きな発電所=メガソーラーがニュースになり、
一般の方はメガソーラーがたくさん稼働を開始したので、
太陽光発電の導入が進んだように感じているのではないでしょうか?

運転開始した設備の内訳をみていると、
実に32.7%は発電出力10kW以上、50kW未満の設備
いわゆる低圧発電所といわれるものです。

%e5%90%8d%e7%a7%b0%e6%9c%aa%e8%a8%ad%e5%ae%9a-1では、低圧発電所とそれ以外(高圧発電所)の違いは何でしょうか?

低圧発電所では太陽光パネルで発生する直流電流を
パワーコンディショナー(PCS)で交流に変換後
100V~200Vの低圧で電力会社の系統に渡します。

正確には電力会社の電柱に設置されるトランス(昇圧器)に接続し、
そこで高圧(6,600V)にして電力会社の系統に送ります。

ですので、
事業者側はトランスやキュービクルといった変圧設備を設置する必要がなく、
発電所を維持管理する資格保有者である保安主任も専任する必要がありません。

ただし、電力会社の電柱建設費用と、トランス設置費用、その他ケーブルなどは
連系負担金として事業者が負担する必要があります。

これは私見ですが、
制度導入時、10kW~50kWの小さい発電所に変電設備の設置義務を課すと
その部分の導入が進まないことを考慮して
このような制度になったのではないでしょうか?

イメージとしては、都市部ではマンションの屋根などで、
農村部では自宅前の空き地を利用して小さな発電所を運営する。
発電所設備としてはパネルとPCSだけですので、
保安主任でなくとも、維持管理はできる。
そんな感じでしょうか?

ところが結果としてこの部分(低圧発電所=出力10kW~50kW)が
かなり多く発電を開始しています。

なぜこのようなことが起きたのでしょうか?

それは「低圧敷地分割」といった方法がとられたためです。

大きな敷地を700㎡~900㎡程度に分割し、
そこに49.5kWの発電所を複数作るという方法です。

ではトータルの設置コストはどちらが安いのでしょうか?

低圧設備は変電設備を自前で持つ必要がない代わりに、
連系負担金が割高となり、ある程度の設備容量(500kW程度)以上あると
低圧分割よりも高圧を選択するほうがコストが下がる傾向があります。

ではなぜ、低圧分割の導入が進んだのか?

実際に低圧分割案件は5~10区画といった小型のものから
20~40区画といった大型のものまで数多く導入されました。
40区画になると定格で約2メガ、パネル出力だと2.6メガ程度となり、
メガソーラーといわれる規模になります。
この規模だと高圧設備にしたほうが導入費用が下がる傾向あるにも関わらずです。

導入が進んだ大きな要因がグリーン投資減税です。

これは発電所取得費をその期の決算で全額一括償却できるというものです。

例えば中小企業で今年度ある程度の黒字が見込めるとなると
税金を多く払わなければならなくなります。
税金は稼いだ以上にはとられないので、払えばよいのですが、
そこは節税したくなるのが人情のようです。

発電事業など全く知らず、再エネ普及に意欲があるわけでもないのですが、
利益が出るので税金を払わないといけない状況にある社長のもとに、
太陽光業者がこんな話を持ってきます。

「49.5kWの発電所を2000万円で買いませんか?
 一括償却を利用して、今期利益を¥0にすることで、
 税金を払わなくてよくなりますよ。」

「6000万円の黒字なら、発電所を3つ買ってください。
 同じ敷地に20個の発電所がありますから、
 黒字額に合わせて発電所を購入できます。」

こういった流れで発電所を小分け(分割)し、取得した会社がたくさんあったので、
低圧発電所の稼働が一番多いということになったのではないでしょうか?
一括償却をするには年度内に発電を開始している必要があったからです。

ここで問題になるのが、一括償却目的で発電所を取得した会社は
発電事業に興味があるわけでありませんので、
あまり熱心にメンテナンスをしないということです。

弊社発電所を見回り点検する途中に多くの発電所を見かけますが、
雑草が生え放題のところをよく見かけます。
中にはパネルが割れている発電所もありました。

ある工事業者の方に聞くと、遠隔監視装置も設置しておらず、
PCSが停止していてもなかなか気づかないところも多いそうです。

これが稼働開始から5年~10年たつとどうなるのでしょうか?
かなりの部分が発電量低下を起こすことは想像に難くありません。

グリーン投資減税というニンジンをぶら下げることで、
普及に弾みがついた低圧太陽光発電所。
これらの発電量が低下することで、導入量(稼働開始量)は増えたのに、
発電量は増えないなどといったことが現実的に起きるかもしれません。

そこで株式会社ゼックでは、発電を開始した発電所を買取り、
市民ファンドとして出資を募ることを考えています。

発電所管理は経験とノウハウのある株式会社ゼックが責任をもって行いますので、
市民(投資家)の方々は、安心して投資を行うことができ、
しっかりとした発電量が維持される

・しっかりとリターンを得ることができる。
・再エネ発電量を維持することができる。

といった好循環を生み出すことが可能となります。

稼動済み発電所の買取に関しては
今後弊社ホームページにてお知らせしてまいります。

発電所の維持管理が大変だと感じている法人様、
オフバランス(発電所売却)により身軽になりたい
といった法人様がいらっしゃいましたら、
是非弊社にご相談ください。

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