太陽光発電所と雪(2018年1月10日発表)

東松島市にある9号太陽光発電所で
昨年12月27日、積雪による発電量の低下がありました。

その際、弊社技術部がどのように対応したのか?
積雪が発電にどのように影響したのか?
積雪状態で天気回復後除雪する方が良いのか?

そのあたりを検証してみたいと思います。

○積雪への対応
 積雪による発電量低下は故障ではなく、
 日照がない→雪が降っている(曇天降雪)ので日照がない
              OR
       雪が乗っているので太陽の光が届かない
 ので発電量が上がらないという状況です。
 ですので遠隔監視装置からの警報は発報されません。
      
 ちなみに、PCSの停止や停電はもちろん、
 特定のPCSが出力低下を起こした場合などは
 すぐに警報がきます。

 ですので、積雪による発電低下は発電量の状況から
 判断するしかないのです。

 では2017年12月27日の状況はどうだったのでしょうか?

 冬至を過ぎたばかりのこの時期は日が昇るのが遅く、
 発電量をしっかりと確認できるのが、
 晴れていれば8時30分頃、曇りだと9時30分から
 10時くらいにならないとわからない状況です。

 当日なにも警報が来ていなかったので、
 9時15分頃全発電所の発電量を確認しました。
 その時点で9号発電所の発電量が0であることを発見しました。

 これが当日の発電量グラフです。
 全く発電量が上がってきません。
 通常天気が良いとこのようなグラフになりますので、
 何かおかしい、天気が悪いにしても低すぎるという判断でした。

 そこで次に行ったのがPCS(パワーコンディショナー)毎の発電量チェックです。
 これが当日の発電量グラフですが、
 午前9時15分の時点ではこのように見えていたはずです。
 特定のPCSのみではなく、すべてのPCSがほぼ0の状態です。
 また、8時30分頃に少しだけ数値が出ています。
 この時点で故障ではなく、気象条件の悪化
 おそらくは雪であろうと判断しました。
 その理由ですが、
 弊社すべての発電所は小型分散PCSシステムを採用しており、
 同じPCSが複数台設置されています。(9号は40台)
 そのすべてが同時に故障することは考えにくいこと。
 停電であればPCS自体に給電されないので、
 発電量0ではなく、ブランク(空白)表示になるからです。

 次の段階として発電所に設置している
 クラスターコントローラー(CC)=遠隔監視装置にログインし
 直接作動状況を確認しました。 12月27日午前9時30分の時点で、
 発電量は低いもののすべて正常に稼働しておりました。
 これらの情報と天気予報から判断して積雪であろうと判断しました。
 念のため発電所近くのライブカメラで現在の状況を確認しました。
 これは仙台河川国道事務所のライブカメラで
 1月4日に確認したものですが、
 10分~15分間隔で更新されているようで、
 現在現地がどのような天気か確認することが可能です。

○積雪の影響

 案の定、雪が降り続き積雪が始まっていました。
 また、9号は発電所から車で15分くらいのところに
 施工を担当していただいたセラウェーブの東松島支店があります。
 そこに電話で確認したところ同様の返事、
 雪が降り続き積雪が始まっているとのことでした。

 降雪~積雪は自然現象ですので避けることができません。
 石巻の気象データを見てみると・・・・・・
 12月から3月にかけて降雪はありますが、
 積っても最大で12cmと積雪は多くない事がわかります。
 12cmくらいだと傾斜角20度の架台で翌日快晴なら午後には大部分が落雪します。

 実際発電量を確認してみると
 27日は丸一日積雪の影響を受けていますが、
 28日には天候が回復し、13時から14時にかけて落雪がはじまり、
 夕方にはほぼ雪がない状態になったようです。
 29日は日照時間と発電量の関係が雪がない状態に近いものになっています。
 30日には全く積雪の影響は見られません。

 結論として
 12月27日 降雪→積雪
 12月28日 天候回復→融雪→落雪
 12月29日 これ以降は積雪の影響なし

 では、12月28日に雪下ろしをしていればどうなっていたか?
 といったところを検証してみたいと思います。

○除雪は効果的なのか?

 気象データから、28日積雪の影響が全くなければ、
 約2000kWh発電したと想定することが可能です。
 天候回復後、午前中いっぱいかけて除雪したとすると
 1000kWh程度発電できた可能性があります。
 28日の発電実績は140kWhですので、
 除雪をすることで、860kWh程度発電量が増えた可能性があります。

 9号発電所の買取価格は¥36+税ですので、
 税込みで3万3000円程度の売電収入になります。
 半日仕事で作業をしていただく方を手配するとしても、
 実費にも満たないということになそうです。

 このようなことから、パネル傾斜角20度で設置する限り、
 積極的な除雪はあまり効果的ではないという結果になりますが、
 最近機械化を含め、除雪コストが下がっているという情報もあります。
 そのあたりは今後の課題として情報収集して行きたいと思います。

このように株式会社ゼックでは、発電所維持管理に関して、
様々な情報収集と分析、迅速な対応を行っております。

社長の口癖なのですが、
「太陽光発電は天候次第なので発電量を上げることはできない。
 しかし、しっかりとした維持管理を行うことで
 発電量を落とさない事は可能である。」

今後も発電量を落とさない維持管理に努めてまいりたいと思います。

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