日本は再生可能エネルギー普及における課題先進国だ。(2017年1月25日発表)

最近、日本は「課題先進国」だという主張をよく聞きます。

 

どういう意味かと言うと
日本はこれまで世界のどの国も経験してこなかった事(課題)が目の前に迫っている。
この課題を解決しなければならない状況が目前に迫っている。と言うことなのです。

例えば老朽化した社会インフラの更新問題や医療年金をはじめとする社会保障制度の再構築問題、
少子高齢化問題等日本の国力に直結する、非常に複雑で大きな問題も横たわっています。

これらはこれまでどの国も経験していない事で、他国にその解決策を求める事も出来ないことです。
そういう意味で日本が課題先進国であるとよく言われます。

 我々の仕事に身近なところではやはりエネルギー問題です。
 これは日本の課題と言うよりも全世界的な課題ですね。
 再三にわたって申し上げているように、現在人類が使っているエネルギーの多くは化石燃料です。
 地球規模の気候変動問題を考えると我々は化石燃料時代を終わらせなければならない事は明白です。
 化石燃料に頼っていく事を選択したとしてもその資源に限りがあるのです。
 これから今世紀末にかけて世界は20億人の追加人口が想定され、
 このまま行くと化石燃料の使用は更なる増大が見込まれます。
 化石燃料を主たるエネルギー源としていく事はできないのです。
 国産エネルギーとして導入を加速しようとしていた原発もそのほとんどが震災以降停止していて、
 今後継続して使用していく事は困難でしょう。
 どうすればいいのか、と言うことで国が現在後押しをしているのが再生可能エネルギーの普及なのです。
 しかしここで日本の課題が浮き彫りになりました。

2012年のFIT開始後、1年半で8000万KWの太陽光発電の設備認定がありました。
つまりこれだけの太陽光発電設備を作りますと言う申請が国になされたということです。

日本国の年間の最大使用電力需要量は1億6000万KWと言われています。
つまり1年半で日本の最大需要の半分を満たす設備ができる余地があるということです。
これは再生可能エネルギーの「同時多発性」と私はよんでいますが他の発電施設と違い、
本当に早く普及をさせていくことができる特性を持っているのです。

2年前に九州電力が太陽光発電設備の受給契約の申請を
一時的にストップした事態が発生したのも同じ要因によるものなのですが、
たくさんの出力の不安定な太陽光発電設備をつくってしまうと
時によっては大量の使いきれないほどの電力が発生することがあります。

電気は蓄えておくことができないので、その余剰分の電力をどこかに逃がして(吸収して)あげないと
系統の周波数が不安定になり停電を起こしてしまう可能性があるのです。

ましてや太陽光発電は設備利用率は12%程度となっているので、
最大需要電力の数倍もの設備を必要とします。
再生可能エネルギーの電源割合が既に30%を超えているドイツは
周囲にフランスをはじめスイス、ベルギー、オーストリアなど8カ国に隣接していて
自国の電力需要の10倍程度の電力需要が隣国に地続きで存在するのです。

そうなると再生可能エネルギーで電力をたくさん作ったとしても
その電力を余らせることなく融通できる余地があります。

ドイツではこのように再エネ設備をたくさん作れる環境が整っているという半面、
日本は地理的に孤立しているという事から再エネ電源の整備については固有の課題があるということなのです。

こういう課題をどのように解決すればいいのか、その打開策の一つが先日読んだ本の中に書いてありました。
「デジタルグリッド、著者 阿部力也、エネルギーフォーラム」 です。

興味のある方は是非読んでみてほしいのです。
この本では島国の日本で再エネによる電力をたくさん入れていくための方策が提示されています。
日本の電力系統の仕組みから始まって、現在起きている事象や問題点を列挙し、
その中で最新技術を導入してその解消図り、
再エネ電力をできるだけ多く入れていく社会を構築していく事を提案しています。
久しぶりに非常に元気をもらった一冊でした。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
太陽光投資ファンドに関するお問い合わせはこちら

関連記事

ページ上部へ戻る