発電所のトラブルは遠隔監視で発見可能?(2015年2月25日発表)

今回はメンテナンス体制について書きます。
できるだけわかりやすく、やさしく説明しようと
努力はしましたが、とても長文になってしまいました。
どうぞ気長にお付き合いください。

株式会社ゼックは稼働中の発電所に関して、
毎日遠隔で発電量の監視を行っております。
その遠隔監視の方法にちょっとした工夫があり、
トラブルが発生した場合、早く発見できる可能性が高いです。

発電所に行っての確認は月2回程度の巡回監視と
年1回の詳細検査を行っています。
よく言われるのがそれで十分なのですか?ということです。


まずは太陽光発電所の構成についてみてみましょう。
太陽光発電所は大きく分類すると下記の要素で構成されています。

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太陽光パネル・・・太陽光モジュールともいい、太陽の光が当たるとパネル内部の
        電子の動きにより直流電流を発生します。
        可動部分が全くないため、めったに故障することがありません。
        経年変化による出力の低下や、ひどい場合には断線、
        パネル表面の汚れや傷に注意する必要があります。
        寿命は25年以上といわれ、40年以上稼働するものもあります。

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パワーコンディショナー・・・インバーターともいい、太陽光パネルで発生した直流電流を
             交流電流に変換します。
             毎日発電が始まると稼働し、発電中は常に動いています。
             太陽光発電設備の中で一番故障リスクの高い部分で、
             機械自体の寿命も10年程度といわれています。
             弊社の太陽光分譲ファンドは20年の事業計画ですので、
             10年保証のパワーコンディショナーは、
             10年目以降交換する費用を積み立てる、
             若しくは20年の補償に入る等の措置をとっています。

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架台・・・太陽光パネルを乗せる台、メッキなど表面処理した鉄やアルミが使われます。
    こちらも稼働するものではないので、あまり壊れるものではありませんが、
    経年による腐食や、風の影響等による徒目付金具の緩みには
    注意する必要があります。

上記でもお分かりいただけるように一番注意をしなければならないのが
パワーコンディショナーの故障です。
その次に太陽光パネルの出力低下、断線です。

ではどのようにして故障を早期発見できる遠隔監視をしているのでしょうか?
鹿島灘1号太陽光発電所を例にとってご説明いたします。

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鹿島灘1号太陽光発電所は48kWの低圧施設4基で合計192kWの出力になっています。
48kWの施設はそれぞれ240ワットの太陽光パネル200枚と
5.5kWのパワーコンディショナー9台で構成されています。
そして、低圧施設1基毎に遠隔監視装置を設置しています。
ですので、192kWの出力を48kW毎に分けて出力監視してるということです。
  ※低圧発電所認定出力が50kW未満の太陽光発電所

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こちらは鹿島灘5号太陽光発電所のグラフです。
低圧設備7基で構成されており、このグラフは7つの線が重なっています。
同じシステムで、同じ場所にありますので、出力は大体そろいます。

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太陽光発電は雲がかかるとすぐに発電量が下がりますので、
雲の多い日はこのようにぎざぎざのグラフになります。
ぎざぎざでも、7基すべてそろっているので、
パネルやパワーコンディショナーの故障ではないことが分かります。

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これは2014年10月3日、鹿島灘1号太陽光発電所の発電グラフです。
午前11時からC区画の発電量が落ち始め
12時以降一定の割合で発電量が下がっているのが分かります。
発電低下量は他の3区画に比べ10%~12%程度になっていました。
C区画には9台のパワーコンディショナーがありますので、
1台が停止している事が疑われ、技術スタッフが現場に急行、
パワーコンディショナー1台が停止している事を確認し、
再起動を試みましたが起動することができませんでした。

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そこで翌日、すぐに代替のパワーコンディショナーを用意し、
午後2時には交換を完了しました。
この日は曇りがちで発電量があがらず分かりにくいのですが、
15時のデータ(14時~15時の累計発電量)は他の3区画と同等になり、
トラブルが解消されたことが分かります。

このように1つの発電所を同じ量で分割し、
並列監視することで、パワーコンディショナーの停止など
大きなトラブルが発生した際すぐに発見~対応することができます。

このパワーコンディショナーは10年保証ですので、
無償で修理をしていただき、報告書も受け取りました。
(IGBTというバイポーラトランジスタが故障していました。)

では、パネルの故障はどのようにして発見できるのでしょうか?
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まずはパネルの基本的な構成ですが、
1つの太陽光パネルは60個の半導体でできたセルで構成されています。
それを20個ずつ直列につなぎ1回路(クラスター)を構成、
合計3回路(クラスター)で構成されています。
仮に1ヶ所断線したとしても、そのクラスターを飛ばして
後の2/3の部分で発電を続けます。

鹿島灘1号で考えると48kWのシステム1基当たり
200枚のパネルがありますので、1ヶ所断線したとすると
0.17%の出力ダウンとなります。
もちろんこれは遠隔監視では発見できません。
実際にパワーコンディショナーの1系統ずつ抵抗値を測る必要があります。

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0.17%の発電ロスのために毎月検査を行っていると、
余分な経費ばかりがかかりますので、
パネルの断線チェックは完成引き渡し時と、その後年に1回行っております。
鹿島灘1号太陽光発電所ではこれまで1枚、断線したパネルがあり、
無償交換していただきました。

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パネルを乗せている架台、ボルトが緩んだりすると
風で飛ばされる等が考えられますので、
止め付け時や増し締め時にマーキングを入れ、
月2回程度目視やガタつきのチェックを行っています。
これまで、台風等の強風で飛ばされたり、
変形したりということはありませんでした。

このように費用対効果を考えながら、
発電所を健全に運用するために点検~検査~保守を行っております。

現在発電中の1号~5号は全て想定を上回る発電を行っております。

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