8億円の連系費用(2015年6月24日発表)

現在進行している太陽光発電の案件で、
系統に接続するために払う連系負担金が約8億円というものがありました。
最近連携負担金が高額になるケースが多く、そのために事業を断念するケースが増えています。
なぜこのようなことになるのか?
問題点を順を追って説明させていただきます。

そもそも連携負担金とは何なのか?
正確には系統アクセス工事費といいます。

太陽光で発電した電力を電力会社の系統に流す際、
接続するため送電線や配電線を整備する費用で、
発電事業者の負担となっています。

例えば・・・・
ある場所に太陽光発電所建設を計画します。
通常の流れだと・・・・・
経済産業省への設備認定申請を行い、
電力会社へ接続検討依頼を行います。

接続検討とは、どの場所に、どれくらいの出力発電所を作り、
どの電柱から電力会社の系統に電気を流すか?
発電事業者が計画を提出することで、
電力会社が発電された電力を受け入れることができるか計算するものです。

では受け入れられる電力量とはどうやって計算されるのでしょうか?

まず基本的な電力の仕組みを簡単に説明すると

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大規模な発電所で造られた電力はロスを少なくするため
27.5万~50万Vというものすごい高電圧で変電所に送られます。
そして各地の変電所で何段階かに分けて降圧され、
一般的な高圧線である6,600Vで電柱に取り付けられた変圧器で再度降圧、
100V~200Vで家庭に届いています。

電気をたくさん使う需要家がたくさんいれば、
たくさんの電気を流さなければならないので、
配電線、送電線は容量の大きなものが設置されています。

逆に需要家があまりいない地域では、
たくさんの電気を流す必要がないので、
配電線、送電線の容量は小さくなります。

これまで電気は発電所という上流から、
電気を使う需要家(家庭や工場)という下流へ流れるという一方通行でした。
ところが、太陽光発電を含め再生可能エネルギーによる発電事業が始まると、
発電所から配電線へ、配電線から変電所へ、変電所から送電線へと
電気が反対に流れる=逆潮流が起こることになりました。

そこで電力会社は発電事業の計画所が提出されると
発電所ではどれくらいの電力が生み出されるのか?
発電所の周りにどれくらいの需要家がいて、どれくらいの電力が消費されるのか?
それによりどれくらいの電力が配電線に流れるのかを計算して配電線、
送電線の容量が足りるかどうかを計算します。

現状を見て見ると、発電を開始している発電所の出力では、
ほとんど配電線、送電線の容量を超えるということはなく、
既設の設備で賄うことができますので、
配電線、送電線の増強や新設を行う必要がありません。

そうなると連携負担金は小さくなります。

仮に発電所から生み出される電力が周囲の需要を超えると、
変電所からさかのぼってより上位系統へ電力が逆流することになります。
その場合、上位系統の容量も勘案されることとなります。

ここで上位系統の送電線容量が発電所で発電される電力
すなわち供給よりも小さいということになると、
受け入れられる電力量を上回っているということになり、
送電線を増強、もしくは新設しなければならないということになります。

これが高額な連携負担金の原因となっています。

では、本当に設備の増強や新設を行う必要があるのでしょうか?

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わかりやすくするため簡単な図にしました。
いちばん左が受入れ可能量
真中の赤色が実際に発電を開始した電力量。
いちばん右が現在の状況です。

新たに発電所を計画し、接続検討依頼をすると
いちばん右の最上部、水色の部分になります。

こうなると受入れ可能量を大幅に超えており、
配電線~送電線の増強、新設を行わなければなりません。

しかし実際に発電している量は赤色なのです!

発電所を計画し、接続検討したものの、
実際には発電を開始しないものが多くあるにもかかわらず
電力会社としては、接続検討が完了している以上
発電を開始するという前提で容量計算をしますので、
新たに接続検討を依頼すると
現状必要のない配電線~送電線の増強、新設を強いられるということです。

弊社新案件に対して回答のあった8億円も、
実際は必要ないであろう配電線の新設を行うという計算でした。

このような現状が続く限り、今後申請される接続検討には高額な接続費用が回答され
再生可能エネルギーの普及が進まないということになります。

このような問題が早期に解決されることを望みます。

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