EV(電気自動車)の使い方。(2016年12月9日発表)

12月6日~7日東松島に出張しました。
東京から東松島へは常磐道で約400kmです。

常磐道を走っているといわきを超えたあたりでしょうか、
福島第一原発付近数十キロにわたり放射線量を表示する電光掲示板があります。
双葉町付近の線量が一番高く、一昨日で3.7μSv/hでした。161209a

これはどの様な数値なのでしょうか?

平常時年間1mSvというのが世界標準で、
これは20000人に1人が癌になると予想される値です。
この場所に12日間以上滞在すると超えることになります。

なお自然界からの被曝は世界平均で年間2.4mSvですので、
1mSvはかなり厳格な数値です。

福島第一原子力発電所の事故を受けて
国際放射線防護委員会(ICRP)は年間20mSvという基準を示しました。
20mSvは1000人に1人が癌になると予想される水準です。
この場所に226日以上滞在すると超えることになります。

また、このあたりに差し掛かると「この先帰宅困難地域」や
二輪車が国道6号を通行できない旨の看板があります。161209kitakukonnan

一旦事故が起こるとこのような悲惨な状況になる原子力発電所は
本当に必要なのか? 再稼働していいのか? 
コストよりも安全性を優先させるべきではないのか?
福島第一原発事故にかかる費用は20兆円を超えると言われています。
それでもコストが低いと言い切れるのかなど考えさせられました。

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは、
とてもクリーンで安全なものが多いですが、
安定供給と需要に応じた出力変動がしにくいところに問題があります。

みなさん「同時同量」という言葉をご存じでしょうか?

電気は基本的にためることができません。
同時同量とは使う方(需要量)と発電量(供給量)を
一致させなければならないという意味です。
ですので電力会社は需要を予測し、発電量を決めています。

それでも予測が常に的中するわけではありませんので、
原子力のように出力が一定で変動させにくいものを
ベース電源として常時一定の出力で発電し、
LNG火力や石油火力のように必要な時にすぐに増やせるものを準備しておき、
急な需要増に対応しています。

では再生可能エネルギーを種類別にみるとどうでしょうか?

・太陽光発電
 発電ピークが昼間なので、重要ピークとは合致するが、
 天気の悪い日や夜間は発電量が低下もしくは0になる。

・風力発電
 太陽光発電とは違い、夜でも風があれば発電可能。
 風邪が全くない日は発電量が0になるなど変動が大きい。

・バイオマス発電
 木質チップなどを燃やして発電するので、
 急な需要増加にも対応することが可能ではあるが、
 大規模化が難しく、燃料の安定確保が課題。

・地熱発電
 地下の地熱エネルギーを使うため、枯渇する心配が少なく、
 昼夜を問わず安定して発電可能。
 適地が国立公園内に多いなど開発に課題がある。

・中小水力発電
 明治時代から利用されている方法で技術が確立し、
 一定の出力を保って発電することが可能。
 一定の水量と落差が必要なため、適地が限られる。
 漁業権や水利権の取得などクリアする必要がある。
 
再生可能エネルギーも上記をうまく組み合わせれば
需要の増減にも対応できそうに見えますが、
それぞれがあまり大規模にはならない事や
一定の地域に様々な再生可能エネルギーをそろえるのは難しく、
現実的に再生可能エネルギーだけで賄うのは難しいと思われます。

そこで必要なのが電気をためる仕組みです。
単純に考えるととてつもなく大きな蓄電池を用意して、
太陽が燦々と照っているとき、風の強いときに電気が余れば蓄電、
必要な時に放電すればよいことになります。

しかしそれには膨大なコストがかかります。

そこで考えられるのが電気自動車の活用です。161209leaf

日産リーフに搭載されているバッテリーは30kWhです。
30kWhがどれくらいの大きさかというと、
4人家族の一般家庭で使う電力が1日10kWhといわれているので、
一般家庭の3日分ということになります。

荒唐無稽な話ですが、
今は知っている自動車がすべて電気自動車になり、
あらゆる建物に太陽光パネルを乗せ、
それを一元的に管理するシステムを構築できれば、
地域間、地方間で電力を融通できるシステムを構築できれば、
再生可能エネルギー100%は実現します。

電気自動車を自宅で充電するだけではなく、
電気自動車から電力を家庭に供給するシステムはすでに出来上がっています。

現在余剰買取制度の対象となっている一般家庭の太陽光発電設備ですが、
2019年から10年の買取期間が終了するものが出てきます。
昼間外出が多く、夜電気を使うような一般の家庭では
太陽光パネルで発電する電気の25%程度しか使用できません。
そうなると発電した電気の内75%は捨てることになります。
そこに電気自動車があれば、発電した電気のかなりの量を使うことが出来るでしょう。

そういった観点からも電気自動車の普及が進むかもしれません。
あながち荒唐無稽とは言い切れない、
100%ではなくとも、電気自動車が普及することで、
地域独立電源、電気の地産地消が進むことは間違いありません。

原発を再稼働するために交付金など多額の費用を使うのではなく、
このような技術開発と、システム構築に費用を使い、
安全で安心なエネルギー政策を進めてほしいと思います。

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