何のための入札なのか。(2016年2月24日発表)

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先週「電源接続案件募集プロセスに関して。」と題して、
太陽光発電所などの申請容量が既存の送配電線・変電所容量を超えた場合、
入札制度で増強工事費を事業者が負担するという話を書きました。

合理的な方法に見えますが、
実は未稼働発電所が76%もあります。
申請ベースの発電容量と稼働発電容量に大きなギャップがあり、
多額の金額と時間のかかる増強工事自体が必要か疑問があります。

前回は実際に稼働する見込みのない発電所を排除してから
増強工事の必要性や規模を決めるべきと書きました。

実は今回の入札制度自体がそれを目的としているとしか思えないのです。
そして、発電見込みのない事業者のみならず、
発電を開始できる可能性のある事業までつぶしてしまうことになる可能性があります。

例をあげて入札システムを検証します。
実は昨日の説明会で隣に座っていた事業者の話です。
(※ブログ掲載の許可をいただきました。)

その事業者は木更津で22メガワットの発電所建設を予定しています。
経産省による設備認定と電力受給契約申請を2015年3月末までに済ませており、
売電単価は32円+税となります。

今回の最低入札金額は18,700円となり、最低でも4億円以上の負担金となります。
入札するには初めに入札保証金が必要となります。
これは入札額の5%ですので、約2,000万円となります。

仮に入札が成立すると4億円に加えてアクセス工事費用、
すなわち発電所から変電所までの送電設備費用を払い込む必要があります。

それだけの費用負担をして発電開始できるのは5年後です。
通常大規模な発電所開発費用は金融機関からの借り入れで賄われます。
今回の入札制度を踏まえて融資がつく可能性は低いと考えられます。

このような条件に耐えられる事業者がどれだけいるのでしょうか?

今回発表されている入札制度特徴に「応募状況に応じた募集対象工事の見直しを予定」
という項目があります。

これは募集容量に比べ、応募容量が著しく下回った場合等は、
必要により、募集対象工事を見直す。(増強規模の縮小など)
というものです。

この入札制度が通常の事業プラン(資金繰り)では耐えられないと分かった上で
多くの事業者が発電所建設を諦め、容量が下がることを想定しているように感じられます。

電源接続案件募集プロセスという入札によって何が起きるか?

実現性のない発電所が排除されるだけでなく、
実現できる可能性のある発電所も排除される可能性が多々あります。

このような入札制度により、再生可能エネルギー普及の速度が遅くなる、
普及しなくなるといったことが無いよう、制度の見直しをすべきではないでしょうか?

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