自家消費PPAという動きが今広がろうとしている。

何かと話題の自家消費PPAについて今年の6月24日のブログで少し触れましたが、再度ここで具体的に言及してみようと思います。(ここで述べるPPAは産業用のものです。)

ちなみに自家消費と自家消費PPAの違いは、前者は投資者が建物所有者であるのに対して後者は第三者である点です。

自家消費PPAとは電力購入契約と訳されますが、実は大きく分けて二つのPPAがあります。

再エネ発電所を建物施設の屋根又は土地に設置し、その建物に直接給電するスタイル、又給電する建物とはかけ離れた場所に発電所を設置し、バーチャルで発電量を調整し、給電するスタイルもありますがここで言うPPAは前者に相当します。

スーパーや工場の屋根又は屋上に第三者が太陽光発電設備を設置し、その発電所からこれまでのようにFITによって電力会社の送電線に流すのではなく直接建物(スーパーや工場)で使ってもらうわけです。

この場合、発電所を設置した第三者をPPA事業者と言い、建物所有者を需要家と言います。

PPA事業者は屋根に設置した太陽光発電所にかかる費用(投資)分は太陽光発電所で発電する電力を需要家に消費してもらう事で回収をしていきます。つまり固定価格買取制度では電力会社に買い取ってもらうのですが、自家消費PPAは需要家に対して電気を売却する事になります。

一方、需要家はどんなメリットがあるのでしょうか。

需要家からすれば今まで配電線を伝って電力会社から電気の全部を買っていましたが、PPAを利用することによって太陽光発電からの電気分に関しては固定価格での供給ができるようになります。電力会社からの電気は再エネ賦課金が年ごとに上がっており、今後更なる上昇が見込まれる中PPAを利用すれば価格変動のない安定した安価な電気を手に入れることができるのです。それも発電所資産は第三者にあるので会計上の負担はありません。尚且つ企業側の防災対策にも一躍買う事になります。

又環境面で言えば環境価値のある再エネを得ることができ、RE100やRE100アクションの再エネ比率を上げることに貢献するのです。FIT電気に関しては環境価値がないという事は6月のブログで述べたとおりです。

このPPAという仕組みは欧米では一般的に普及しているモデルであり、日本もこれから普及期に入っていくものと想定されます。

 

ただ、懸念すべき部分もあります。PPA事業者からすれば屋根設置の発電所に投資したのはいいが、需要家が期間中しっかりと消費してもらえるかどうか不安という声もあります。

需要(電気の使用)はその時の気温や気候によっても変動します。どんな場合でも一定の需要があるとは限りません。それによって投資回収期間の変動が考えられます。

又需要家からすれば例えばPPA期間中ずっと電気を購入することになるので中途での解約ができずその時その時による柔軟な判断ができなくなるという束縛感があるのも事実ではないでしょうか。

そのハードルを越えてPPAという契約に至ることができるというのは、再エネが安価になったという事と全世界的な環境意識の危機感がそうさせているのではないでしょうか。

 

温室効果ガス濃度は2018年で過去最高の記録を更新したと昨日の新聞で発表されていました。パリ協定で決めた各国の温室効果ガス削減目標を達成したとしても、産業革命時期と2050年の気温差は1.5℃はおろか2℃も達成できないとの見通しが示されています。

気候変動危機は目前に迫っていると言っても過言ではありません。

我々レベルでできる対策は身近に存在します。その一つが日々の事業活動において化石エネルギーに依存するのではなく、再エネ利用を促進していくことだと思うのです。

そのきっかけになるのがこの自家消費による再エネ創出でありであり、ここで紹介した自家消費PPAだと思うのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
太陽光投資ファンドに関するお問い合わせはこちら

関連記事

ページ上部へ戻る