再エネの導入拡大は、気候変動対策やエネルギー安全保障の観点からも必須の課題です。日本は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて導入の拡大を目指しています。
ところで近年、日本でもAI(人工知能)の活用が急速に進んでおり、さまざまな分野でAIが導入され、生産性の向上や業務の効率化や社会課題の解決や競争力の強化を目指してその活用が加速しています。今回は、大規模言語モデルAIの代表格であるChatGPTと「再エネの更なる導入拡大にAIが果たせる役割とは」という趣旨のテーマで会話してみた結果を参考に、少し論じてみたいと思います。
さすがにChatGPTの回答は、一見きれいにまとまった模範解答のようでした。但しAI、特に大規模言語モデル(LLM)が事実と異なる情報や存在しない情報を返すハルシネーションが発生し得ることに留意しながら、ここでは一般論の範疇にとどめたいと思います。
その回答の骨子は、再エネの更なる導入拡大においてAIは極めて重要な役割を果たすことができる、特に電力の不安定性・分散性・予測困難性といった再エネの課題を克服するうえでAIの活用がカギになる、というものでした。AIの役割は再エネ導入の「調整力」と「知能化」を担うことであり、もたらす価値とその領域について簡潔にまとめると以下の内容でした。
発電 | 高精度な予測と制御による安定性
設備 | 故障予防・長寿命化によるコスト削減
系統運用 | 分散電源の統合と需給調整
都市運用 | 地域全体の最適化と自律運用
政策・経営 | 精度の高い判断支援と社会的価値の最大化
これだけでは抽象的すぎて、あまり実感がわかないのが正直なところだと思います。それでも、再エネの導入拡大にはAIが重要な役割を果たせることに、さほど異論は出ないだろうと思います。太陽光発電所の管理業務においては、実際にパネルの異常検知、運用保守の一部自動化、発電効率の最適化や資産管理、リスク分析などの領域でAIが活用されている事例があるようです。
AIツールの導入は、事業や業務に大きな効果をもたらす可能性がある一方で、導入の仕方を間違えると期待外れになることもあるので、今後もうまくつきあっていきたいところです。