電源接続案件募集プロセスをご存知でしょうか?
送配電線・変電所の容量を、太陽光発電所などで作られる電気の容量が超えてしまった場合、
発生する設備増強のための工事費を発電事業者が入札形式で負担するというものです。
少し詳しく説明します。
電気を送り届ける送配電線や変電所は、これまで電力会社が地域の需要を見込み
その需要を十分に賄えるという観点で整備されてきました。
ところが太陽光発電所などが多く建設されると、
そこで発電された電力がその送配電線、変電所を流れることになります。
発電事業を行うには電力会社に電力受給契約申請を行います。
これは誰が、どこで、どれくらいの規模でということを明記します。
その電力受給契約申請の累積が、
その地域の送配電線容量、変電所容量を超えると
増強工事が必要となります。
増強工事は主に、送配電線の太線化や新設、容量が大きな変圧機への取替や
変圧器の新設などがありますが、
数十億円という費用と3年~5年の月日が必要となります。
これまでは起因者負担となっていて、
容量を超えるまでは特定の負担がなく、
容量を超えるところで申請をした会社が、
増強工事費を全額負担するというった仕組みでした。
私たちの予定していた1MW程度の発電所で、
連系負担金が8億円というケースがありました。
これは私たちの発電容量で受け入れ可能な容量を超えたか、
それ以前に容量を超えていて、
私たちより前にいる事業者が、増強工事費を負担するという
意思表明をしていないということになります。
これには続きがあり、
3年以内に、その増強された設備に接続する事業者は
応分の費用負担をするというルールがあります。
ですので、一旦負担した増強工事費を一定分取り返せる可能性があります。
しかしながら、取り返せるかどうかわからない億単位のお金を
つぎ込める事業者はがどれだけいるか想像に難くありません。
そのような理由でこれまで容量オーバーしてしまった地域は
以降の発電事業が出来ないという状況でした。
そこで考え出された方法が、
増強に必要な費用をそこに連系する事業者で負担する。
それを入札形式で行い、高い金額を入れた事業者を優先的に接続するというものです。
昨日千葉県南部エリアにおける
電源接続案件募集プロセスの説明会に行ってきました。
容量にすると28万kWを67億4千万円かけて増強するというものです。
合理的な話に見えますが、実は様々な問題を抱えています。
まず第一に未稼働発電所問題です。
全量買取が開始された2012年7月から2015年9月までのデータで、
電力受給契約申請を行ったにもかかわらず
未稼働な発電所が76%もあるということです。
そうなると先ほどの図はこうなります。
実に申請の24%しか稼働していないのに、
67億4千万円かけて増強する必要があるのでしょうか?
残り76%は本当に稼働するのでしょうか?
知っている限りでも、融資がつかない、最初から転売目的、
地権者との土地利用合意がなされていない、
元々設置できなさそうな傾斜地など、
実際に稼働できないような案件がいっぱいあります。
まず実勢に稼働しないような発電所をあぶり出し、
そこを排除した上で増強工事を検討すべきではないでしょうか?
次週、「何のための入札なのか」に続きます。