昨日8月1日(火)に10号太陽光発電所が売電を開始いたしました。
売電開始日ははっきり申し上げて今はあまり作業として行うことはありません。
実際に行うのは漏電遮断機等、各種安全装置がしっかりと働くか?
各種設定は電力会社との協議通りになっているかを
保安主任が確認するくらいです。
1号発電所の売電を開始した時とは違って今は東電の担当者が
現地まで売電開始当日に来る事はほとんどなくなりました。
1号発電所の売電開始時期である4年前は東電の方が二人くらいで来られて、
発電事業者が提出した発電所レイアウト図を見ながらの現地確認、単線結線図との整合性、
ブレーカーのチェック等細々とした事を当日に検査し、
そのあと「はい、売電ブレーカーをあげてください。」
という号令に従いはじめて売電開始という段取りでした。
今は東電の方も慣れてきたのか、
発電所が多すぎでそんな事をやっている暇がないのかわかりませんが、
そのチェックは売電開始以前に全て済まされていて、
当日は東電の方は来られず、弊社の工事担当者がブレーカーをあげることで売電開始します。
いつも売電開始日に思うことがあります。
それはその発電所の土地情報をいただいてから
今日の売電開始に至るまでの経緯を振り返ってみることです。
10号発電所は最初の土地情報をいただいたのは2年半ほど前の事でした。
土地所有者様との賃貸借契約及び発電所設計に1年超、
電力協議及びファンド企画に1年、ファンド募集及び建設に半年程度かかっています。
出資者の皆様にはファンド募集をする時に初めてそのファンドの詳細を見ていただくことになるのですが、
ほとんどの各種機関との交渉ごとはそれまでに終わっています。
今回、土地の所有者様は4名おられます。それぞれに土地をご所有されている理由や背景があり、
各人ごとに交渉を進めていき最終的に統一した条件で賃貸借契約を締結いたします。
所有者様にご協力いただくことで一番説明に時間がかかる事がやはり賃貸借設定登記についてです。
発電所用地として20年間土地を借りる権利は賃貸借契約を締結したとしても、
それだけでは不十分な場合があり得ます。
例えば、土地所有者が20年の間に相続が起こって子供に承継され、
その息子さんが土地を売却する事も考えられます。
そうなった時に賃貸借の登記をしておかないと
善意の(発電所の存在を知らないで土地を取得した)第三者に対抗できない、
つまり新たに買い受けた第三者が発電所には貸せないと言うことになれば
借りる権利を失う可能性があると言うことなのです。
このためにその土地がどのような状況になっても20年間しっかり土地を借りる権利を
維持できる状態にすることは極めて大事な事なのです。
それが賃貸借の設定登記というものです。
この設定登記をするにあたっては、所有者様の土地権利証と印鑑証明書が必要になります。
所有者からすれば賃貸借契約だけすればそれでいいじゃないか。
と権利証や印鑑証明書まで出すということに対して抵抗感を感じる方が多いのです。
ましてや先祖代々から引き継がれている土地の権利証となるとなかなかご理解いただくのに苦労します。
所有者様の立場を考えるとお気持ちも理解できるところです。
ですが一つ一つ所有者様に丁寧にご説明を申し上げて、
書類を提出いただき賃貸借登記を行うという交渉をした事がまず思い出されました。
これは10号発電所とは別の発電所ですが電力会社様との協議でも苦労した事がございます。
電力会社には様々な書類を提出し、接続検討を行っていただき、連系可能かどうかの判断をいただきます。
その上で可能であれば連系するために必要な連系負担金というものが提示されます。
それを事業者側が払わなければ連系をしてもらえません。
その金額が当初の目論みよりも1000万円程度多くなることもありました。
そうなると全体の事業計画に狂いが生じて出資者の皆様にパンフレットで示すべき利回りを
下げなければならないという立場に追い込まれた時もありました。
これは非常に苦労しましたが何回も協議を重ねることによってその増加分の負担金を回避するために
若干、発電所出力を落とすことにより、その難局を乗り越えた事もありました。
このように一つの発電所を仕上げるためには、様々な変動要因を確定的な要素へと
近づけていくという作業自体が本当に大変な事なのです。
これからもファンド募集を継続して行っていきますが、
発電開始後の発電所についても出資者様の立場に立って管理、運営していくつもりであります。
20年間の管理を委託されているとう重みを背負いながら丁寧なメンテナンスを心がけてまいります。
出資者の皆様には、遠隔監視画面の閲覧サービスをご提供させていただいておりますので、
何かお気づきの点がございましたら何なりとご意見、ご提言をいただけましたら幸いです。