アゼルバイジャン共和国の首都バクーにおいて、11月11日から24日まで、当初予定を2日間延長される形で国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)などが開催されました。日本からは浅尾環境大臣が参加し、ナショナルステートメントではNDC実施と透明性向上に向けた共同行動を発表しました。NDCとは、気候変動対策として各国政府がパリ協定に基づいて策定・実施する温室効果ガスの排出量削減目標のことです。パリ協定では、5年ごとにNDCの提出と内容の更新が義務付けられています。
会議では、気候資金に関する新規合同数値目標について、2035年までに少なくとも年間3,000億ドルの途上国支援目標を決定しました。また、すべてのアクターに対し、すべての公的および民間の資金源からの途上国向けの気候行動に対する資金を2035年までに年間1.3兆ドル以上に拡大するため、共に行動することを求めることも決定されました。
メディアの報道を見ていると、強調されていたのは先進国が途上国に対して支援金をいくら払うことになったかなどのお金の話ばかりという印象でした。途上国からは、気候変動対策資金として2035年までに受け取る年間3,000億ドル(約46兆1,900億円)は“微々たる額”や“少なすぎる”といった不満の声が上がっているようです。拠出額は現在の年間1,000億ドルから3倍に引き上げられているのに、途上国がこの巨大な額面に対しても不満を抱いていることには驚きましたが、それだけ途上国は、日本を含む先進国に対してより多くの拠出を求めていたということであり、多くの課題が残されたままです。
CO2最大の排出国の一つであるアメリカでは、近くトランプ氏が大統領に就任する見通しで、パリ協定からの再離脱を掲げています。脱炭素に向けて先進国と途上国が足並みを揃える日はいつになるのでしょうか。