2012年7月から全量買取制度(FIT)が始まりましたが
当初、日本としては初めてのことであり、
どのような制度をつくればいいのか非常に悩んだことだと思います。
結果としてロケットスタートをするために高い買取価格を付けました。
特に産業用太陽光発電設備では予想を上回る40円(税抜き)という価格が
ついたことで業界は盛り上がりました。
予想以上の高い価格に異業種の企業が殺到しました。
その後36円、32円、29円、27円、24円
そしてこれから申請を始めようとする発電所についは実質20円程度の買取代金になっています。
結果的には4年で当初買取価格の半分になってしまいました。
FITの価格はどのようにして決まるかと言えば、
設備認定(経産省)と受給契約の申込(電力会社)という書面審査で決まります。
つまり簡単な話、必要な書面だけ整えれば売電価格の権利、
例えば40円で買い取ってもらえる発電所の権利というものができてしまいます。
売電価格の権利金というのは発電所を建設することなく、
この権利に価値をつけて流通させてお金にしていくことを指します。
当たり前ですが40円で売電できる発電所と32円で売電できる発電所は
やはり40円の方が高く売れます。
これは不動産でも同じですね。
賃料が100万円で貸せる場所と50万円で貸せる場所があるとすると
当然100万円で貸せるほうが理論的には2倍高く売れるということです。
この2~3年間40円、36円の権利ものが非常に多く流通しておりました。
私どもの事務所にも多くの流通案件が持ち込まれてきました。
しかしこれらの案件はやはり売り手が権利金を高い価格に設定するため
なかなか値段が合わないことと、間に様々なブローカーさんが介在していることが多く、
本当の権利者にたどりつくのが困難な案件が非常に多かったです。
そんなことでゼックとしては流通案件に手を出すことは今のところしておりません。
出資をご検討されている方からお電話があり、
次に出すファンドはいくらの売電価格ですかというご質問を受けます。
「32円です」と申し上げますとそれじゃ36円より収益状況は悪いのですねという反応が帰ってきます。
それはあまり正しい判断ではありません。
もともと経産省はFIT制度を次のように作っています。
「当初3年間は事業者に優遇価格を適用します。買取価格は設備価格の低下に比例して下げていく」
ということです。
つまり当初、買取価格は1年ごとにの見直しがありましたので
当初3年である40円、36円、32円の発電所に関しては収益状況
つまり利回りとしては同じということになります。
ゼックの組成する1号~8号までの発電所は今のところ買取価格が40円~32円でしたので、
収益状況も同じ水準を保っています。
買取価格が下がっているのになぜ同じ収益が出るのですかと説明会でよく質問がありますが、
その理由は上記によります。
9月に9号ファンドをリリースする予定でございますがこれも32円の買取金額が確定している発電所です。
現在ゼックのファンドにおいて想定以上の収益状況を確保できているのは、
高い発電所権利を買うことをせず、自ら現地に行き、農家の方と直接お話しをし、
弊社の取組をご理解いただいた上で賃貸借契約をし、その後電力会社様と連繋協議、
施工会社との協議等すべての工程を自社で仕上げているということに起因しています。
現在27円の案件も抱えておりますがやはりここまでになると収益状況も落ちてくることが想定されます。
これからの事ではありますが、銀行融資を一部入れることによって(レバレッジ効果)
匿名組合出資者様の収益状況を少しでも上げていけるような取組も現在試みているところでございます。
実現するかどうかはもう少し検討が必要ですが様々な事を試しながらすすんでいこうと思っております。