PVジャパン2017基調講演を聞いて(2017年7月6日発表)

PVジャパン2017が7/5-7/7の日程で開催されています。
基調講演と太陽光発電協会発足30周年記念講演を聴講してきました。

太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーが
今後どうなっていくのかといった内容のお話でした。

一番インパクトがあってわかりやすかったのが、
法政大学大学院教授、一橋大学特任教授
米倉 誠一郎氏の公園でした。

曰く、日本に一番足りないのはビジョンだと、
2030年、2050年にどうするといった確固たるビジョンがないので、
総論無き各論、ゴールの見えないレースになっているのではないか。

全くその通りだと思いました。
ドイツは2022年までに原発を完全に停止する。
そういったビジョンをもってそれを実行するにはどうしたらよいか?
そこを考えているのではないでしょうか?

・消費エネルギーを減らす
・再生可能エネルギーを増やす
・原発を全廃する

数値目標をもってゴールを決めてそれに向かうべきだと感じました。

では実際日本の再生可能エネルギーの現場では何が起きているのか?

・電力受給に市場原理を導入することで、需給バランスの自立化を図る。
・再エネの新たな使い方、Power to Gas等。
・立地制限のある電源の導入促進のあり方。
・系統問題 コネクト&マネージ
・系統増強のあり方
・出力抑制の最適化と公平、予見性の確保
・適切な調整力の確保

このようなお話がありました。

・電力受給に市場原理を導入することで、需給バランスの自立化を図る。

 これはすでにドイツでかなり進んでいます。
 FIT(全量買取制度)では発電した電力を一定価格ですべて買い取る前提ですので、
 電力があまっていようが発電しますし、足りない時間に供給しようというモチベーションもありません。
 では電力市場はどうなっているかというと、需要と供給のバランスで価格が決まりますので、
 あまっている時間帯は安くなりますし、足りない時間は高くなります。
 発電電事業はなんとか少しでも高く売りたい思いますので、
 電力の足りない時間に供給する方法を工夫します。
 その市場原理により需給バランスを図るというものです。
 概念的にはとてもわかりやすいのですが、
 実際は絶対にブラックアウトを避ける、電力供給の破たんを避けなければなりませんので、
 かなり複雑な仕組みなりますが、そこにビジネスチャンスがあるようです。

・再エネの新たな使い方、Power to Gas等。
 
 上述の需給バランス調整にも関連してくるのですが、
 太陽光発電や風力発電は不安定電源です。
 例えば太陽光はいくら電力が不足していても日照がなければ発電できません。
 風力も風がなければ発電できません。
 しかし電力が不足する時間は風のない雨の日にもおこりえます。
 そこで、夜間電力需要が低いにもかかわらず風が強いときなどは、
 発電した電力で水を電気分解し水素ガスを作り貯蔵します。
 それを電力が足りない時間に燃料電池で電気にすることが可能になります。
 簡単に言うと揚水発電所のような機能です。
 技術的な問題とコストが改善されればかなり実用的だと思います。

・系統問題 コネクト&マネージ

 現在発電所を作ろうにもその電気を送る系統容量に空きがないのが現状です。
 では本当に系統が常にいっぱいになるほど電気が流れているのか?
 そうではないようです。
 それを最新技術により判別コントロールし、
 ある程度制限があるにせよ、系統連系し発電を行おうというものです。
 具体的にどのようにコントローするすのかと言ったお話はありませんでしたが、
 これはかなり現実的で、効果のある施策だと思います。

・出力抑制の最適化と公平、予見性の確保

 発電事業者にとって無制限出力抑制は受け入れがたいものです。
 それが原因でファイナンスがつかずとん挫するプロジェクトもあり、
 実際我々も連系可能な1.3MWの案件をあきらめました。
 出力抑制を最適化し、公平性を確保した上で、
 予見できるものとなれば、より事業化が進むと思います。

日本の再生可能エネルギーはスタートをして急激に増えました。
これから様々な部分で洗練され、合理化されればまだまだ増えますし、
増やしていかなければならないと感じました。

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