国内外の蓄電池を巡る話題に触れる機会が多くなってきたように思います。太陽光発電に関しては、家庭用の蓄電池(定置型)と組み合わせて利用するものや、蓄電池併設型メガソーラーの建設など、その普及が少しずつ進んでいるように見受けられます。太陽光発電と蓄電池との組み合わせなどが広がれば、再エネがより普及する可能性があります。日本を含め世界的に低炭素化・分散電源化がトレンドとなっていることも背景にあり、蓄電池が提供する機能が注目されているのでしょう。
太陽光発電などの再エネが抱える問題として『変動する』『不安定だ』などといわれ、一般的には基幹電源としての実力を備えていないと考えられているのではないでしょうか。例えば太陽光発電ピーク時には揚水発電に回す、あるいは地域間連系線を活用するなど、変動を吸収する方法はあります。しかし電力エネルギーをそのまま蓄えておくという意味では、蓄電池をおいて他に方法はありません。応答性が早いことも特徴であり、今後の電力市場で受給調整市場においてもさらなる活用が見込まれます。
蓄電池は主に、充電する、放電する、蓄える、の3つの機能を提供します。家庭用のものであれば、太陽光発電設備やHEMS機器などと組み合わせることで売電量の増加や、購入する電力を減少することができ、また災害時の非常用電源として安心を確保し、停電時には時間に関係なく貯めた電気を使うことができるようになります。産業用の太陽光発電に併設される蓄電池では、発電量が急増した際に充電、不足した場合には放電するなど状況に応じた充放電制御をスムーズに行うことができます。蓄電池の活用により再エネ事業者も周波数調整サービスを系統に提供し、需要側のエネルギーリソースとして活用するVPP(仮想発電所)の進展に寄与するなど、再エネの普及拡大と既存電源からの転換が促されることが期待されます。
日本ではまだ蓄電池価格が高く、普及の足かせになっているという指摘もあります。経産省ERAB検討会において、2020年の目標価格として家庭用のもので9万円/kWh以下、産業用のもので15万円/kW以下という考え方が示されています。一部海外のメーカーなどは既にこの価格を下回る製品を提供しはじめており、今後の動向に関心が寄せられています。
出典:経済産業省 http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/energy_resource/pdf/005_08_00.pdf
最後に、欧州で斬新な発想で制作された蓄電池ユニットを紹介します。ドイツに本社があるBelectric社は、新車および中古車の数千もの車載バッテリーを利用した大型の蓄電ユニットを開発しました。最新のものはイギリスのウェールズにある既存の風力発電所に併設され、約22MWの出力を有します。英国のナショナル・グリッドに対して周波数調整サービスなどを提供しているそうです。
出典:Belectric | solarserver.de©EEM Energy&Environment Media GmbH https://www.solarserver.de/solar-magazin/nachrichten/aktuelles/2018/kw26/neue-speicher-basieren-auf-tausenden-von-fahrzeugbatterien.html