レスター・R.ブラウンという
アメリカの非営利研究機関アースポリシー研究所所長が書いた本です。
氏はワシントンポスト紙で「世界で最も影響力のある思想家の一人」と評され
著者、共著者として50冊以上の本を出しておられます。
これを最近読みましたが、
日本にいては感じられないことがいっぱい書いてあります。
「大転換」という題名から想像されるように、
今世界はエネルギーの大転換をしようとしている。
つまり木材から石炭への移行、石炭から石油そして天然ガスへの移行、
現在それが再生可能エネルギーに変わろうとしている。
それを実感できる本です。
日本は2012年から再生可能エネルギーの買取制度をやっと始めましたが、
ヨーロッパは2000年から本格的な買取制度を始めています。
アメリカや他の国々でもそれに準じて始まっています。
すでに経済的観点から太陽光や風力で生み出される電力のコストが
化石燃料や原子力から生み出されるエネルギーのコストを
下回っている地域が表れているということです。
最初は高くついた再エネのコストも
買取制度という装置によって建設コストが下がっており、
今や一番安いエネルギーとして認知されだしているということです。
更にそれは使った分だけ無くならないという、
再生可能なエネルギー、つまり持続可能なエネルギーというわけです。
各国の政府もこのことに気づいているのです。
アメリカは原発や石炭火力の施設を閉鎖しているところが出てきており、
又原発大国のフランスも原発割合の縮小を余儀なくされています。
中国も同じです。
まさに世界は今「大転換」をはかろうとしていることが感じられました。
そしてもう一つ感じたことは、
我々はこの大転換を急がなければならないということです。
次のようなくだりがあります。
「世界が国際社会の合意通りに平均気温の上昇を
2℃以内に抑える可能性を手放さないためには、
化石燃料の使用を大幅に削減しなければならない。
最新の科学的な推計によると、2℃という制限の中にとどまる見込みを
そこそこに保つためには、世界は地中に残っている化石燃料から
今世紀前半に排出されるCO2の量を1400ギガトンに
抑える必要があるという。
私たちは2013年までにすでに400ギガトンのCO2を
排出してしまったので2013年から2050年までの間には
1000ギガトンしか排出できない。」
これを読んで計算してみました。
現在、世界は年間およそ320ギガトンを輩出しています。
今のままで行くと2050年の時点で裕に制限枠を超えてしまいます。
日本は本当にこのままでいいのだろうかと
つくづく考えさせられたと同時に
更に再エネの普及に邁進しなければならないと
背中を押された本でした。
ご興味のある方は是非読んでみてください。