以前は「太陽光発電はメンテナンスフリー」とよく言われていました。
確かに他の発電事業や工場などとは違い、
稼働部分が極端に少ないのでメンテナンスの負荷は小さいといえます。
しかしながら実際発電事業を行ってみると
保守・メンテナンスが非常に重要だということに気づかされます。
株式会社ゼックではすべての発電所に遠隔監視装置を取り付け、
技術部スタッフが発電量のモニタリングを行っています。
何か異常があればすぐに対応するのですが、
どうやって異常を発見するかが難しいのです。
もちろん晴れている日に発電量が0kWになれば間違いなく故障ですが、
太陽光発電は日射量によって発電量が上下します。
晴れていても、少しの雲で発電量が変わってきます。
少し出力が低いとか出力が上下している場合など、
日が陰っているだけなのか、故障なのかの判断ができません。
そこで、現在発電をしている9カ所の発電所すべてで
並列監視システムを導入しています。
例えばしもつけ6号の例で見てみると、
PCS出力700kWですので、通常だと大型のPCS1台設置しますが
しもつけ6号は20kWのPCSを35台設置しています。
これは万が一PCSが故障した際も、
1台なら1/35の出力減で済むというリスクヘッジのもありますが、
遠隔監視において大きな意味があります。
これがよく晴れている日の発電量グラフです。
35台あるPCSの出力曲線がほぼ重なっています。
これは昨年11月24日のグラフですが、
PCS1台だけ出力が落ちています。
技術部スタッフが現地に急行したところ、
このような状況でした。
発電所北側隣地に木が3本あり、
そこから落ち葉が飛んできていました。
この事例では、隣地所有者様と話し合いをし、
影響がありそうな枝を払うという対応になりました。
これは1台のPCSで運用していると発見できなかったと思われます。
落ち葉は風が吹けば飛んでいきますし、
継続的に影響があるものではありませんが、
仮にこの出力減が続いたとすると
約13%の出力ダウン、年間で15万円、
10年だと150万円もの損失になります。
そういった機会ロスを防ぐために、
毎日の遠隔監視による保守が重要なのです。
次にメンテナンスの部分ですが、
通常月に1~2回程度巡回点検を行っております。
パネルや架台の損傷、下草の繁茂、PCSの出力バランスなどのチェックを行います。
実際にこれまでパネル表面のガラスが割れていたのを発見した例もあります。
また、年に1回全パネルの断線チェックやボルトの増し締め等
大がかりな点検も行っています。
太陽光パネルの内部ははんだ付けされている部分もあり、
稀に断線する場合があります。
そうなると断線している部分は飛ばして電気が流れ、
発電は継続されますので、通常の遠隔監視では断線しているパネルを発見するのは難しいのです。
例えば鹿島灘1号を例に考えてみると
トータル800枚のパネルで構成されていますので、
パネル3枚に断線があったとすると0.375%の出力減となります。
kW当たりの変換発電量を1200kWhと想定すると
年間37,325円のロス、10年で373,250円のロスとなります。
このようにかなり細かい部分ではありますが、
売電収入を維持していく上で
しっかりと保守・メンテナンスを行っていくことは非常に重要です。