少し前に触れたと思いますがRE100について具体的に述べてみたいと思います。
RE100と言う言葉を理解するためにはまず二つのキーワードをしっかりと理解しなければなりません。
①PRI(Principle for Responsible Investment)
②ESC(Environment)(Social ) (Corporate Governance) という言葉です。
①のPRIは責任投資原則と一般的に訳され、世界中の投資はこの方向に向かっており、投資する側の責任を6つの観点から規程しています。
- 投資分析と意思決定のプロセスにESG課題を組み込む。
- 株式の所有方針と株式の所有慣習にESG課題を組み込む。
- 投資対象の主体に対してESG課題について適切な開示を求める。
- 本原則が資産運用業界に受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行う。
- 本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
- 本原則の実行に関する活動状況に関して報告開示します。
上記はかいつまんで説明すると、ESG課題つまり環境保護に役立つ投資、社会的に差別や虐待につながらない投資、確かな情報をしっかりと開示するものへの投資をしていきましょう。と国連が旗を振っている状況なのです。
今や世界投資全体の1/4がこのESG投資と言われています。
逆の言い方をすれば、今後はESG課題をクリアするような投資でないとお金は集まらないと言うことになってくると言うことです。
例えばグーグルやアップルのようなIT企業は巨大なサーバー群を持っていてきわめて多くの電力を使います。その全ての電力を再生可能エネルギーで賄う事を計画しています。RE100とはリニューアブル100%の略です。自社の運営を100%再生可能エネルギーで賄う事を目標にする企業と言うことです。現段階で100%である必要はありません。
これは金融機関も同じことでESG課題に反するような企業には今後お金を貸さないような方向性になってくるのだと思います。
RE100の参加企業は今年3月時点で世界中で128社あり、BMW、GM、ネスレ、ゴールドマンサックス、イケア等があり、日本でまだ数は少ないのですがリコーが初めて2017年4月に参加し、その後積水ハウス、大和ハウス、アスクル等が加盟いたしました。
日本企業が少ないのには理由があります。現時点では日本国内で自社の電力を全て再生可能エネルギーで賄おうとするとそこには大きなハードルが存在するからです。
それは再生可能エネルギーとしての価値をもった電力を仕入れることが容易にできない国だからです。太陽光発電のようにこんなにたくさんできたじゃないかと反論なれそうですが、実は日本では固定価格買取制度(FIT)をベースにした発電所は再エネとしての価値はないと言われています。どういう事かと言うと、FIT発電所は高い金額で買い取られており、その高い分の金額は実質国民負担となっています。その前提で考えると再エネ価値は既に広く国民に還元されていると解釈されているのです。
現在存在する太陽光発電所はほとんどFIT制度を利用しており、RE100の条件を満たす発電所ではないのです。グリーン電力証書等と組み合わせて基準を満たすことも考えられますがコストアップする事は間違いありません。
つまり日本ではなかなか手に入らないのがこの再エネ価値のある電源なのです。
2019年11月に2009年から発電した家庭用の太陽光発電は10年のFIT期間が切れるので、相応の再エネ価値をもつ電源と言うことになります。事業用太陽光発電はほとんどが2012年からの発電開始なので、20年のFIT期間が切れるのが2032年になると言うことです。そんなことで日本の企業はまだ再エネ価値のある電源で100%運用していくと言うのは難しい状況があるという認識にあるのではないでしょうか。
再エネは世界的に見れば一番安い電源である事は間違いのない事実になっています。
従って今後どんどん普及していくことになると思いますが、短期変動電源であるというデメリットも抱えています。そのデメリットの部分を何とか克服するために様々な試みがなされています。その部分は他の回で触れていこうと思いますが、主力電源化していく再エネをどのような形で増やしていくのか、これからが勝負だと思います。