想定発電量と実発電量(2017年5月24日発表)

5月11日のブログで想定発電量はどの様にして求めているのかを書きました。
今回は想定発電量は妥当な数値なのかを見ていきたいと思います。

まずはじめに、前回発電量を想定する際、
NEDOの発表している365日、1時間毎の斜面日射量を使っていると書きました。

発電量は月間、細かく評価するにしても1日単位で十分です。
晴れる日もあれば、曇りや雨の日もありますので、
1ヶ月トータルしてみていくのが普通です。

ではなぜ1時間単位にしているのか?

太陽光発電所候補地を選定する際、できるだけ影のかからない土地を選びますが、
その土地によっては、ほとんどの部分に影はかからないのに、
どうしても一部分にのみ、一定時間影がかかるという場合があります。

そのような場合、どれくらい発電量が落ちるのかを判断するする必要があります。
そのため1時間単位での発電量を求め、
影になる部分の広さからどれくらい発電量が落ちるのかを想定します。
これが実際に影の影響を評価するときに使っているもので、
時間別に影を作り出し、その影響で落ちる発電量を評価しています。
これが1時間毎の斜面日射量が必要な理由です。

ではこの発電所の想定発電量と実発電量はどうなっているのでしょうか?
このように想定を上回るものとなりました。

これを見て、「想定が低すぎる」「影で落ちる発電量を多く見過ぎているのではないか?」
と思われる方もあるかもしれません。
そこでこの発電所の近くで同じ出力、影のかからない発電所の想定と実際を見てみましょう。
影がかからない分想定が高くなっていますが、
実発電量も高くなっており、想定対比は近い数字になっています。

この比較からも、影による発電量低下を概ね正しく想定できていたことになります。

話が少し脇道に行ってしまいました。
今日の主題は想定発電量は妥当な数値なのか?
ということでした。

結論から言うと、現在運営している発電所の実発電は
ある程度長い期間でみるとすべて想定を上回っています。

ファンド設計をする際、想定発電量から売電収入を計算し、
そこから必要経費を引いて分配金を計算します。

ですので、想定を上回れば分配金が増えるということになります。
やはり分配が想定を上回るというのはいいことですので、
これはいい傾向です。

では想定発電量が低すぎるのではないかというところですが、
想定発電量というのは
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発表している
国内837地点・20年間(1990~2009年)の日射量データベースから算出しています。

20年間の平均で出している日射量から想定した発電量に対して、
何故すべての発電所の実績が上回るのか? 
疑問に思いますよね?

その答えが気象庁のデータベースにありました。
気象庁が発表しているつくばの全店日射量は、
1971年からデータがありますので2015年までの45年間で比較してみました。

まず45年間を一覧で見てみます。
ここからわかるのは45年前から徐々に日射量が上がっているということと、
上下にぶれても10%程度ということです。
観測開始から一定期間の平均値を見ると、
最初の5年よりも直近の10年の方が5%近く良くなっています。

ここから言えることは、
日射量に関して過去の平均よりも良くなってきているということです。
ですので、NEDOデータのように過去の平均から出している数値をもとに
発電量を想定しておけば、実発電量はそれを上回る可能性が高いということです。

では、年毎の変動はどうでしょうか?
この45年間をとってみると
最大値は2004年と2013年で平均より約8%プラス、
最小値は1998年で平均より約11%マイナスです。

これを見る限り、必ず毎年平均より良くなるというわけではなく、
とても悪い年もあるということになります。
しかしながら、下振れしても10%程度ですので、
それほど大きな下振れではなく、
一定期間平均すると過去平均を上回るということが言えそうです。

まとめるとこうなります。

NEDOのデータを用いて発電量を想定している限り、
一定期間(5年~10年程度)では想定を上回る可能性が高い。
ですので、
NEDOの日射量データを用いた発電量の想定は妥当であると考えています。

発電事業では設備を正常に保っている限り、
日射量=発電量=売電収入
となります。

すなわち、太陽光発電事業では設備を正常に保っている限り、
想定を上回る収入を得られる可能性が高い。
ということになります。

株式会社ゼックがメンテナンスに力を入れている理由がここにあります。

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