※写真は毎日新聞HPより抜粋
九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の1号機に、
核燃料を装着する作業が7日始まりました。
原発再稼働の第一歩となります。
少し立ち止まって考えてみたいのですが、
原発は再稼働するべきなのでしょうか?
国民はどう思っているのか?
原発再稼働を前に災害リスクを専門とする学者と民間調査会社が、
原発・エネルギーに関する世論調査を実施したところ、
再稼働に対して反対が70.8%、賛成が27.9%という結果が出ています。
また、現状での再稼働では、73.8%が東京電力福島第1原発事故と
同規模の事故が発生すると懸念しており、
新しい規制基準をクリアしたとしても
事故発生を懸念しているということになります。
これはどういうことでしょうか?
福島第一原発の事故に関して、発生の直接的な原因は
地震とそれに伴う津波ですが、
それが想定以上のものであったということになります。
世論で過半数が再稼働反対とするのはここが原因だと思います。
いくら科学的に様々な想定をし、それに備えたとしても、
事故は想定外のところで起きる。
そう感じているのではないでしょうか?
その感情に対して、科学的根拠に基づかず、
再稼働に反対するのはばかげているといえるのでしょうか?
ここは一度立ち止まり=再稼働を保留し
将来の電源構成から産業の発展についてまで
議論したうえで決めるべきではないでしょうか?
ドイツは福島の事故からわずか3日後に老朽化した原発7基を3ヶ月停止し、
全原発の徹底的な安全検査を実施、
さらにドイツ政府は2020年の脱原発を決めました。
ただし、ドイツが事故を受けて脱原発を決めたのかといえば、
そうではありません。
緑の党と社会民主党との連立政権は2000年に脱原発を決め、
2022~23年を脱原発の期限に定めていたのです。
ではなぜ、ドイツは早くから脱原発に舵を切ったのでしょうか?
・原発はリスクの高い技術だと認識している。
ドイツは倫理委員会を設置し、原発はどうすべきか議論、
「原発はリスクの高い技術。一方の再生可能エネルギーはリスクが低い。
ならば原発は廃止すべきだ」 という結論に至っています。
・脱原発による雇用の減少はない。
ドイツ政府が掲げている再生可能エネルギーの導入目標は、2020年に35%というもの。
その先も、2030年に50%、2040年に65%、2050年には80%まで高めるとしています。
それにより多くの雇用が生み出され、原子力産業での雇用減を上回るということです。
・再生可能エネルギーには経済的なメリットもある。
ドイツでは、再生可能エネルギーの導入は経済的な
メリットが大きいという試算が広く知られています。
単なる発電コストの比較ではありません。
再生可能エネルギーの導入にまつわるコスト増よりも、
石油や天然ガス、ウランなどの燃料を使わないで済んだことによるコスト削減や、
酸性雨や健康被害などの対策コストの削減、新規に生まれる雇用や、
企業の競争力向上などのメリットの方が大きいと考えられています。
ここから何が見えてくるのでしょうか?
「長期的な経済や産業の発展まで見据えたエネルギービジョンを持っている。」
「そのビジョンをもとに政治が主導的な役割を果たし、実行に移している。」
ということを感じました。
それが日本に欠けているとも感じます。
ドイツ議会の専門委員会は2010年に、2050年に100%再生可能エネルギーに
することも可能だ」と表明しています。
ドイツにはできて日本にはできないのでしょうか?
原発のようなリスクの高い電源にコストを投じるよりも、
再生可能エネルギーにコストをかけるべきではないでしょうか?
今じっくりと議論し、方向性を決めるべきだと思います。