変わろうとしている大手電力(2018年2月9日発表)

昨年の4月ですが下記のURLにて東京電力がある発表を行いました。
http://www.tepco.co.jp/press/release/2017/1402651_8706.html

一般家庭向け蓄電池ソリューション事業を展開する英国ベンチャー企業への出資発表です。
Moixa(モイクサ)という英国ベンチャー企業に約7000万円を出資したというのです。

それではこのモイクサと言う会社はどんな会社なのでしょうか。

実は一般住宅向けに太陽光発電と蓄電池を組み合わせたシステムを提供している会社です。
蓄電池は日本においてはこれから価格が下落していくことが予想されていますが、
まだ現段階では価格が高いと言われて普及ベースに入っていっているということはできない状況です。
現状、投資商品と言う位置づけではなく、
停電した際の電源補充的役割や昼間太陽光発電で発電した電力を蓄えてそれを夜に使う、
又は夜の安価な夜間電力を蓄えて昼間に使うと言う事を行いピークをシフトすることによって
電力料金を安くすることが行われます。

しかしこれを行うことによる蓄電池効率は50%くらいと言われていて
15年と言う蓄電池寿命期間の中では到底ペイできないと言われています。

モイクサは蓄電池効率を上げるために次のような事をやっています。
それは住宅用蓄電池を自社のVPP(バーチャルパワープラント)網につなげて
設置されている蓄電池群をマネージすると言う事です。

モイクサは各戸の蓄電池にある蓄電された電力をある一定量だけ自由に扱える裁量を持ち、
それをまとめて電力市場に売却したり、
若しくは大手電力会社の調整市場に参加することで利益を得る事を行っています。
そこで得た利益は各住宅に還元されていく仕組みです。

つまり蓄電池所有者からすれば蓄電池効率を上げてくれて、
そのあげてくれた分の利益を還元してくれるということであれば、
モイクサで蓄電池を導入しようと言う意識が働きます。
モイクサからすれば言い方は悪いですが、
他人の電源と言う資産を使って市場や電力会社に対して電力を販売でき、
そこから利益を得ることができるのです。

話を東電の出資に戻します。

蓄電池ビジネスと言うのはここに蓄えた電力をいかに有効に使うかと言うことなので
電力会社にとっては自社のビジネスモデルの崩壊につながる行為です。
電力会社は発電した電気を消費者がたくさん使うほど利益のできるビジネスです。
それを自然エネルギーで得た電力を効率を上げて有効に使いましょうということなので
電力会社のこれまでの事業とは真逆の仕組みに投資をしたということになります。

つまり東電も従来のビジネスモデルでは将来的な持続性に疑問を持ってきている
という証左ではないかと考えております。

まあ東電にしてみればそんなに大きな出資額ではないので現状では勉強代程度だと思います。
しかし以前にもこのブログでご紹介したように
ドイツの大手電力は既に原発や化石燃料の火力発電を本体から切り離して別会社にし、
再エネを推進する会社になっています。

これは再エネ特に風力、太陽光発電は発電コストが劇的に低下し、
他の電源は既に価格的に太刀打ちできない状況になっていっているということなのです。

世界は再エネ主導に向かって進んでいっている状況です。
再エネ導入に遅れた日本もFIT制度を導入した以上後戻りはできない状況になっています。
一つ一つの事象を見ていると見えないのですが、
この5年程度の再エネに対する世界の動きを俯瞰してみると
電力業界には劇的な変化が起こっていることは間違いないようです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
太陽光投資ファンドに関するお問い合わせはこちら

関連記事

ページ上部へ戻る