2014年12月22日 経済産業省は九州電力をはじめ
7電気事業者(電力会社)を指定電気事業者としました。
これは認定された設備の想定発電量が、
該当する電気事業者(電力会社)の接続可能量試算値を
上回ったためにとられた措置です。
これにより電力会社は無補償で、無制限に
太陽光発電所の出力を抑制することができます。
この指定電気事業者制度によりどれだけ出力抑制を受けるかわからないという
不確定なリスクが大きくなります。
これは収益を見通せることが重要なメリットであった
再生可能エネルギー全量買取制度自体を否定するような改悪ではないでしょうか?
まずは事態がどのように推移したかを見てみます。
1. 再エネ全量買取制度がスタート。
2. 太陽光発電の設備認定申請が殺到。
3. 設備認定された発電容量が地域電力会社の接続可能量を上回る。
4. 電力会社が太陽発電の新規接続申請受理を保留。
5. 電力会社が無制限出力抑制をできることを条件に新規接続申請を受入れ。
→経済産業省による指定電気事業者制度
6. 経済産業省が設備認定能力に余力があることを発表
→新規設備認定申請が激減している。
要約すると、
太陽光発電所が増えすぎで、それらが全てフルパワーで稼働すると、
電力会社管内で必要な電気の量を上回り、
大規模停電につながる可能性がある。
このままだと、電力会社が新規接続申請を保留し続けるので、
経済産業省が、電力会社の意向でいつでも好きなだけ発電を止めてもよいので、
新規接続申請を受け付けなさいという制度を作ったということです。
なぜこのようなことになったのか?
「発電容量が地域電力会社の接続可能量を上回った。」
ここに大きな誤解というか、非現実的な論理があります。
まず設備認定済み発電容量とは、
経済産業省に届出て設備認定を受けた設備の発電量を足したものです。
建設しようにもまったく資金繰りの立たないものや、
建設予定地の確保ができていないもの、
権利を取ることだけが目的で、土地の調査すらされていないものなど
おおよそ発電にこぎつけられないものが多々あります。
九州電力管内でみると、実際に稼働している発電所は設備認定済みの13%程度です。
では接続可能量とはどのように計算されているのでしょうか?
接続可能量試算値は原発が震災前と同じ稼働率で運転するとの前提で計算されています。
原発に関しては、40年廃炉を前提として、採算性を考えた再稼働と廃炉に向けて
取捨選択されていくものと思われます。
接続可能量に関してはかなり過小評価されていると言わざるを得ません。
では、発電事業を行う事業者側からみるとどうでしょうか?
現実的にかなりの原発が稼働し、設備認定を受けた発電所が相当数稼働しないと
出力抑制は起きないといわれても、
制度上、それが起きる可能性がある限り、金融機関は融資を渋ります。
全量買取制度を前提とした発電事業は基本20年間です。
期間が長い分、現時点でリスクが低くても
将来的に大きなリスクになるやもしれぬというところで、
高いリスク評価となってしまいます。
実際先日経済産業省からこのような発表がありました。
もともと6月30日までに設備認定を受けたい案件は
5月1日までに申請をしてくださいというアナウンスだったのが、
認定業務に余力があるので、5月28日までに申請された設備認定は
6月30日までに処理しますと変わりました。
やはり、新規太陽光発電所建設計画は激減しているのでしょう。
電力事業者に太陽光発電の新規接続申請を受け入れさせるためとはいえ、
指定電気事業者制度の導入はよい方法ではなかった感じます。