今回はあまり太陽光発電事業そのものには関係のないお話になります。
埋蔵文化財包蔵地(ほうぞうち)という言葉をお聞きになった事はありますでしょうか?
埋蔵文化財包蔵地とは石器・土器などの遺物が出土したり、
貝塚・古墳・住居跡などの遺跡が土中に埋もれている土地であって、
その事が地域社会に認識されている土地がこれに該当します。
文化庁の資料によれば、埋蔵文化財の存在が分かっている土地(周知の埋蔵文化財包蔵地)は
全国で約46万か所もあるということです。
埋蔵文化財包蔵地であるかどうかの確認は管轄の市区町村の教育委員会で行うことになります。
弊社は特に太陽光発電所の開発を行う時にまずはじめに日射に恵まれている土地を探す事はもちろんですが、
その所有者の方と交渉をし、20年間の使用許可をいただいております。
それとともにその土地に対して様々な法規制や周辺の調査をします。
その一つの作業がこの埋蔵文化財包蔵地にとして指定されているかどうかを調査することなのです。
まだ慣れていない不動産会社ぐらいであればこの調査を怠ってしまい
事業主に損害を与えてしまうこともあるようです。
なぜなら埋蔵文化座包蔵地に関しては、次のような規制があります。
1、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等の目的で発掘しようとする者は、
発掘に着手する60日前までに文化庁長官に届出しなければならない。
2、届出をした発掘に対し、埋蔵文化財の保護上、特に必要があるときには、
記録の作成のための発掘調査など必要な事項を指示することができる。
この発掘調査に要する費用は、原則として開発事業者等が負担する事とされている。
従いましてそこで事業をしようとする者が発掘に関する全ての経費を負担することになるということです。
私どもの場合で申し上げればファンドつまり出資者様の負担でその費用を負担することになります。
もしそうなれば額にもよりますが数百万、数千万になるということであれば
その土地での太陽光発電の設置はできないということになってしまいます。
今回、一般の投資家様個人に販売する予定でお借りすることになる予定地が
まさに埋蔵文化財包蔵地である事がこの9月に判明しました。
既に売電権利も取得している土地だったのですが、市の教育委員会に届出を行いその簡易調査の結果、
4つの何らかの破片が出てきました。これらの破片に関して詳細な判断が必要とのことで
茨城県にその判断をゆだねたようでありました。
その最終的な返答が書面で昨日送られてきたのです。
その内容ですが、基本的にその破片はあまり重要なものではなかったらしく、
土木工事を始める事は可能ですが、工事の時に立会をさせてくれとのことでした。
結局は工事をとめられるような事はなかったのですが、
この埋蔵文化財包蔵地で貴重な遺品が出てくると大きな経済的負担が発生するので、
少し緊張した1週間でした。
それにしてもこのような体験をすると日本が如何に歴史文化の保存を大切にしようとしている国なのか
ということが身をもって感じられました。
この行政コストは全日本で考えれば非常に大きなものになると思います。
そうしてでも国の文化歴史をしっかりと守っていくというのは
本当に素晴らしい事だと思いました。