本当に送電線は空いているのか?(2018年1月31日発表)

これまで各電力会社は多くの送電線で
空き容量はゼロと回答してきました。

それに疑問を投げかける発表が下記シンポジウムがありました。

結論から言うと「考え方によっては空いている。」
       「運用方法を考えれば空いていると考えることができる。」
と言うことになります。

2018年1月29日京都大学大学院経済学研究科再生可能エネルギー経済学講座で
以下のようなシンポジウムが開催されました。
「送電線の有効利用を目指して:電力インフラ有効利用のための方策 
                 -送電線は空いていないのか?-」

その中で安田陽特任教授と山家公雄特任教授は
「1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較して、利用率を求める」という手法を取り、
全国の送電線が利用されている率を19.4%と結論付けました。
ニュース記事 ハフィントンポスト(朝日新聞提供)

ではなぜ電力会社は空き容量ゼロと回答しているのでしょうか?

・基幹送電線は二重化されている
 基幹送電線は万が一の事故に備えて二重化されています。
 仮に送電容量100の送電線があるとすると、
 送電容量50の送電線が2本あり、その設備容量は50と決められています。

 そこに流せる送電量上限を50とすることで、片方の送電線が破断しても
 もう片方の送電線ですべて賄うことができる。
 =停電事故にならない。 という体制になっているのです。

 ですので、実潮流からみた設備利用率が20%というのは
 40%と考えてよいのではないでしょうか?
 それでも60%空いていることになります。
 
・全電源フル稼働で計算している。
 系統容量を計算する際、系統に連携されているすべての電源(発電所)が
 フル稼働するとして計算されています。
 もちろん現在稼働していない原発も含めてです。
 (上表 従来の運用)

 もし万が一、すべての発電所がフル稼働したら需給バランスが崩れ系統が破たんし、
 大停電が起きるので、それに備えるためにそのような計算になっているのです!

 普通に考えるとあり得ませんね?
 可能性と蓋然性の問題です。
 このような事象は可能性として計算すると、
 ごくごくわずかの可能性があるという結果になりますが、
 蓋然性として考えるとゼロ=起こりえません。

 暖房も冷房も要らない4月のうららかな日曜日、
 雲ひとつない晴天で強風が吹き荒れ
 原子力発電所がすべて再稼働し、火力発電所をフルパワーで焚くでしょうか?

 そんな前提で計算してるのです。

これが電力会社が送電線空き容量ゼロと回答する中身です。

それに対して経済産業省がとりあえずできるだけ発電所を連系することで
再生可能エネルギーの普及を図り、運用方法を工夫することで
送電事故や大規模停電が起こらないようにする取り組みを進めています。
日本版コネクト&マネージです。
(上表 見直しの方向性)

ヨーロッパではこのような取り組みがすでに現実化されています。
日本でも早期にこのようなシステムが整備されることを望みます。

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