FIT制度の抜本改正は何のためにあるのか

長らくブログを休んでしまい申し訳ありません。
年初から様々忙しくさぼってしまいました。この期間我々に関連するFIT制度の改正が多くなされており、直近の改正の中で太陽光分譲ファンドの周辺やその関係する部分のみを取り上げて論じることにします。
1) 低圧の太陽光発電設備の設置は難しくなる方向
2) 太陽光発電設備の入札は250KW以上になる。
3) 基本料金の発電側課金は本当にあるの
4) 太陽光発電設備の廃棄費用問題
5) FITからFIP
以上の問題を少しお話しします。

まず1)で10~50KW未満の低圧太陽光発電所については大きな変更があります。これまで自分で発電所に投資し、太陽光発電業者様から野立ての設備購入された方もたくさんおられると思いますが、今年の4月1日以降は従来のように全量買取制度が実質なくなりました。その趣旨まではここでは触れませんが小規模の太陽光発電が地域における信頼を獲得するための地域活用要件として自家消費と災害時に活用というこの2点が必要になりました。従いましてまず自家消費率も30%以上を要求されるようになり、このサイズの野立て太陽光発電所はなくなる方向になります。想定されるのは倉庫や工場、スーパーの屋根に設置する太陽光発電所とかであればFITが可能なところも出てくるという状況です。

2)についてですがそもそも入札というのはどのような仕組みかがわかりにくいのですが簡単に説明すると次のようになります。
■4/1以降250KW以上の発電設備を設置したい人は入札に参加してください。
<募集要項>
・今年度のの募集容量は例えば400MWとします。
・買取価格の上限価格はex14円/KWhとする。
・調達期間は20年間
これに対して私は500KWの太陽光発電所を建設するが13.2円/KWhで買取をお願いしますと入札するのです。入札金額の安い順番に落札していき、400MWの容量に達するまで行われ、容量を超えた分は次の入札まで待つという具合です。
つまりこうすることによって賦課金という国民負担で成り立っているFIT制度のコストを最小化していこうという仕組みになっているのです。
今年度この入札にかかる容量が500KW以上でありましたが、来年度からは250KW以上になるという事です。

3)に関しては以前に少し述べましたが、これは人口減少や再エネ自家消費の影響等により今後の送配電網維持のために、小売電気業者が主に負担してきた託送料に基本料金を発電者側にも課すことにしようという事です。発電所容量KWに対して課金するため稼働率の低い太陽光発電は比較的負担が重いと言われています。
ゼックファンドで言えば12号ファンド以外(40円~29円買取が対象)の発電所がこの対象になり、収益の減少する方向に行くことになります。どれくらいの金額になるのかは現段階でわかりませんが今後注視していく事になります。導入間近になればもう少し活発な議論がなされていくと思われます。

4)に関して大まかな案がでてきています。太陽光発電設備はその運用期間後たくさんの廃棄物を出してしまいます。これをどのように処理するのかという事は国全体の問題だと思います。そこで政府はその廃棄物処理の実行を担保するために発電事業者から予め廃棄費用の徴収をすることを計画しています。現在上がっている案は資本費つまり太陽光発電設備設置費用の5%とか1万円/KWとかの費用を予め売電金額から差し引くことによって回収しておこうというものです。これは最終的にはいずれせよ廃棄費用が必要になるので追加コストという事ではありませんが、想定キャッシュフローを乱すことになり、反発が予想されます。

5)に関してはこれまで度々触れてきているFIT→FIPに変わるというお話です。
FIPの大枠はある程度固まってきているものの、既存FITで運用されている発電所はどのような扱いにするのかについてFIT維持なのかあるいは選択制なのか等まだ全貌が見えない部分がありますが確実に言えることはFIP制度にシフトしていく事は確実なように思えます。

このような再エネを取り巻く状況は様々に変わってきておりますが、この変化はあくまでも日本において再エネ主力電源化という目標に沿ったものであるということを信じたいと思います。個別の事象でとらえればそれぞれの立場でその見解は異なるものの大局的にとらえれば日本における電力自由化をより良い方向に導いてくれるものと思っております。
前回も書いたかもしれませんがFITという幼稚園、小学校レベルの制度から脱して高校大学に相当するFIP制度にうまく適応し、最終的には国の支援に依存しない形での大人の再エネビジネスが成立するような社会にしていく事、これが再エネ100%を達成する唯一の道であると思うのです。

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