ハワイの山火事と電力インフラ

世界的な観光地である米ハワイ州のマウイ島で現地時間の8月8日未明に発生した山火事は未曾有の災害となってしまいました。この山火事は西部のラハイナのほとんどを焼き尽くし、マウイ郡の発表では現地時間20日夜時点で114人の死者が確認され、捜索を終えたのは被害地域の約85%で未だ850人が行方不明となっています。21日にはバイデン米大統領がジル夫人とともに甚大な被害が発生したラハイナを訪れたことが日本のテレビニュース等でも報じられました。

それでは今回の山火事が被害を拡大させた要因は何だったのでしょうか。米の複数のメディアによると、壊滅的被害を受けたラハイナの住民が、地元電力会社ハワイアン・エレクトリック・インダストリーズ(HEI)とその子会社を相手取り集団訴訟を起こしたと報じられました。住民は、HEIによる送電が出火の原因だと訴えています。

米西部のカリフォルニア州など山火事が頻発する地域では近年、火災が起きやすい気象条件となった場合、送電を停止する措置を取っています。HEIが火災の危険性が高いと予想されたにもかかわらず、許し難いことに送電を続けた、と訴えているのです。山火事自体の発生原因は特定されていませんが、HEIが危険性を認識しながら通電を遮断しなかったため、送電線からラハイナの致命的な火災が起きたと主張しています。

マウイ郡の元エネルギー局長は、最も大きな問題は情報の伝達が遅すぎたことだとしたうえで、現地の電力会社には電力遮断のマニュアルが存在せず、社長もマウイ島におらず誰も判断を下せなかったことを指摘しました。

日本で山火事はそれほど多く発生していませんが、自然災害が多発することからも無関係とはいい切れません。とりわけ電力インフラを運用管理する電力会社には住民の安全安心を最重要に、常日頃から準備をしておいてもらいたいと思います。

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