前回太陽光発電の買取制度を利用して売電した場合、
どれくらいの収益が出るのかについて少し触れました。
経済産業省は買取価格を決める目安として
IRR6%の収益を発電事業者が得られるようにしたと言っています。
そこでまずこのIRRというのはどういう意味でしょうか。
通常何かに投資しようと考えるとき、
その投資指標として一番耳なじみのあるものは利回りです。
例えば定期預金を考えてみましょう。
100万円を5年ものの定期預金に投資したとします。
その金利を1%としましょう。
すると毎年1万円の利息が5年に渡って支払われます。
そして5年目には100万円の元本が戻ってきます。
これは利回り1%の定期預金として非常にシンプルでわかりやすいですね。
ところが通常の投資というのは初期投資の額と
最終年の元本返済に相当する部分が必ずしも一致しないのが通常です。
又元本は毎年少ずつ返済されるというものもあります。
例えば不動産投資というものを考えてみましょう。
1000万円でワンルームマンションに投資したとします。
毎月家賃6万円で毎年72万円が入ってきたとします。
20年後に売却するということにすると、
築年数が古くなると1000万円では売れず500万円で売れたとします。
この場合結局20年間の利回りはいくらになるのでしょうか。
どのように考えればいいのでしょうか、わからなくなってきますね。
これを同じ土俵の上で判断できる指標それがIRRです。
つまり金利がどうのこうのではなく、
投資した金額がある一定期間にいくら、
どのような形で返ってきてるのかということを%として示す指標、
これがIRRです。
IRRはエクセルで簡単にもとめることができます。
ちなみに上記の定期預金はIRR1%の事例、
上記不動産投資のIRRは5.8%になりました。
これまでの太陽光分譲ファンドは例えば二口100万円を投資した場合
おおよそ毎年85,000円の収益を予想しており、
それが20年続くということを想定しております。
これをIRRという指標で計算すると5.7%という数字になります。
通常は元本返済を最初の10年間、
あつめに返済することによって6%を確保しようとしています。
20年平均して一定額が支払われるよりも、
前倒しで前半に比較的たくさん返ってくるようにすると
その分IRRは上がります。
これは今10,000円をもらう方が
1年後に10,000円をもらうよりも価値が高い
ということを表しています。
IRRというのはそういう期間計算も考慮した指標になっています。
なかなか説明しずらく、理解しにくいのですが
このIRRという指標を使うと株式投資や投資信託、
国債、不動産投資、又は事業投資でさえも
すべてその投資額と毎年のリターンが把握できていれば
投資比較することが可能です。
ただし、これは単純に収益性を比較するだけであって、
投資判断の基準としてはこれがすべてではありません。
つまり定期預金に投資することと、株に投資すること、
又不動産や太陽光に投資することはそれぞれリスクの度合いが違います。
最終的には収益性とリスクの程度を考えて
一番自分にとって有利なものを選択することになるのでしょうね。
このように考えると今太陽光発電に投資をする機会が
社会全体として増えているということは
投資リスクの程度の割に収益性が高いということを
示しているのではないでしょうか。
国が20年間買取を保証するということは、
まず通常の事業ではあり得ません。
再生可能エネルギーの普及という全世界的な流れの中で
制度として確立してきたものであり、これは今しかチャンスはありません。
これに投資することで経済的な利益を得て、
結果として自然エネルギーが普及していく。
太陽光分譲ファンドのIRRは6%を意識して作られています。
この収益性が高いのかどうか。一度考えてみてください。
(ちなみに経済産業省が示しているIRR6%という指標は買取価格が32円の発電所までであり、それ以降の発電所は収益性が落ちるということが想定されています。)